ハムスターは、旧来の飼い方から大きなストレスを受けていることが分かりました。ハムスターのストレスとはどういうものか?詳しくご案内いたします。

ハムスターのストレス  ≪研究報告≫

  1. §1.ハムスターにもストレスがある
  2. §2.研究の結果わかったこと
  3. §3.ストレスの解消方法は人と同じ   (自然界のハムスターの場合)
  4. §4.ペットのハムスターの、飼育環境によるストレスと病気の関係
  5. §5.ハムスターのストレスの症状
  6. §6.ハムスター独特の【ストレス】の解明
  7. §7.敵を先に見つけるという【高性能で完璧な警戒システム】
  8. §8.このページのまとめ
  9. §9.補足・その他のストレス



§1.ハムスターにもストレスがある

 巣穴から出て地上で活動しているときには、敵に食べられないために、常に最大級の警戒を維持し続けなければならないという、食物連鎖の哺乳動物の最下位にいるハムスター独特のストレスがます。

そして、ペットのハムスターが時には死んでしまうほどの、健康を損なう原因が、このストレスにあることを推測するに至りました。

上空警戒中1
警戒中のハムスター

≪ストレスに着目≫したきっかけはハムスターの病気です。

 ペットのハムスターが「病気になった」とか、「突然死んでしまった」という報告をいただき、そうなった原因を消去法で調べた結果、
≪原因はストレス≫と判断することが最も合理的である例が実にたくさんあることが解りました。
そこで、ハムスターの病気・ハムスターの突然死、そしてその前兆とストレスとの関係に着目し観察と研究を始めました。

≪ハムスターもストレスで病気になるのは人と同じ≫

 人は、強いストレスが続くと健康を害し、消化器系の病気になったり、脱毛したりします。
また、拒食や過食もストレスが原因と言われています。
ハムスターの消化器系の病気や皮膚病などが、人がストレスで病気になるのととても似ていることに着目しました。
ハムスターも、強く大きなストレスを長期間受けているとすれば、健康を害するはずです。
特に、野生の動物を人が飼育する場合には、様々なストレスが生じるはずです。
この視点から、ハムスターがどんなときにどのようなストレスを感じているかを詳しく観察した結果、
ハムスター独特の【ストレス源】があることが解りました。
この【ストレス源】については、あとの項で詳しく説明いたします。
ここでは結論から先に報告いたします。

≪ストレス消化の試み≫

 この【ストレス源】から発生するストレスを消化させる対策をした飼育環境と飼育方法を整えてあげた結果、
その効果はめざましく、ストレス症状が消えて、ハムスター達は、活き活き健康に育つようになりました。

その対策とは、ハムスターに≪ハムスター目線で自分の家≫と言えるハムスターの家に住まわせることです。

ここでは、ハムスターのストレスを理解して、ストレスを消化することができる飼育環境と、ハムスターを健康に飼育することができる研究の成果を報告しています。

§2.研究の結果わかったこと

ハムスターに備わった最強の【警戒システム】がストレスの源

⇒ハムスターは、巣穴の外で活動するときに、敵に食べられないための優れた【警戒システム】を持っている。

⇒この【警戒システム】は【とても高い緊張状態】によって機能する。

⇒もし、この緊張が緩めばたちまち敵に食べられてしまうのだから「たった一時の緊張の緩みで一生が終わる」という常に真剣勝負をしているのと同じ極めて強い緊張状態がつづき、強烈なストレスがハムスターの体内に発生する。
食べる方の敵も必死なのだから、食べられないために用心する敵以上に必死になっているのは当然である。

⇒捕食者だらけの原野で絶滅しないで繁栄しているということが、この【警戒システム】が正常に機能している証である。

⇒この【警戒システム】は、【本能と習性】に因るものだから、ハムスターが巣穴の外、つまり地上に出ているときに限って必ず稼働する。本能で自動的に稼働するので個体差は無い。もし稼働しないハムスターが居れば食べられてしまうので自然淘汰される。

⇒以上から、ハムスターが巣穴の外にいるときには、とても強いストレス状態にあることが分かります。

もし、ハムスターの心拍数や血圧を測り知ることが出来たとすれば、寝床で 安眠・熟睡しているときと比べて相当な緊張状態であることが実証できることでしょう。


§3.ストレスの解消方法は人と同じ   (自然界のハムスターの場合)

この様に高度な緊張状態によるとても強いストレスを、自然界のハムスターはどのように克服・消化しているのでしょうか?

⇒ハムスターは、安全な巣穴に戻れば【警戒システム】の【高い緊張状態】つまり【ストレス状態】を解いて リラックスして安眠・熟睡することができます。
巣穴の中、安全な自分の家でリラックスすることで、ストレスを消化・解消していることが推測できます。

 このことは、人が、通勤や会社の緊張状態の中でストレスを溜めても、家に帰ってリラックスし、 温かい寝床で安眠・熟睡してストレスを解消して、元気に朝を迎える、という生活パターンと同じだと推測できます。
安全な巣穴の中に入ると安心してリラックスできるのは、家に帰って安心する人間と同じはずです。


自然界に於けるハムスターは、巣穴の中つまり自分の家でリラックスすることで、巣穴の外の強いストレスを消化して、心のバランスを保ち、心身の健康を維持している。



§4.ペットのハムスターの、飼育環境によるストレスと病気の関係

 ペットのハムスターがこのストレスで病気になったり、時には突然死んでしまったりするのは?

 従来の飼育環境には、ハムスターの目線でいう本当の『ハムスターの家』が無いこと、人の例えで言う自分の家がないことで、リラックスする場所がなく、ストレスを消化するという仕組みが働かないという大きな欠陥があり、その欠陥が、ハムスターにストレスを蓄積させている原因であることが解りました。

⇒従来の飼育環境(飼育ケージ)は、ハムスターの視線から見たハムスターの家が無い。

⇒したがって、ハムスターは、自分はずっと巣穴の外、つまり地上に居ると感じてしまう。
ストレスを消化するためのリラックスする家がない。

⇒したがって、巣穴の外にいるときの【警戒システム】が自動的に働いて、途切れることがないので、強いストレスに曝され続けていることになる。

⇒ストレスは次第にハムスターの心の中に蓄積する。

⇒心のバランスを保てなくなる。

⇒病気になる。

一般に用いられているハムスターの家は、ハムスター目線では、せいぜい地上で身を隠す場所の機能しかないこと。


自然界においては【ハムスターの家】は、巣穴の地下にあって、複数の部屋で構成されていることは、 今では誰もが知っていることです。
このことはハムスターが求めている飼育環境でご案内しています。


§5.ハムスターのストレスの症状

心のバランスを失っている兆候、
ストレスによる症状の兆候は、
次のように、段階的にハムスターの行動に現れます。

【初期の段階】

●意味の無い反復行動を一心に続けます。
●ケージなどをかじり続ける奇行が見られます。
●天井の金網を雲梯の様に渡る行動が見られます。
●よじ登れないのに、ケースの壁をよじ登り続けるような奇行が見られます。

【進行した段階】

●人を、血が出るほどに噛みます。

これらの行動は、自然界のハムスターには起こりえないのはもちろんですが、実験研究の中で、ストレスの無いハムスターにはこれらの症状は起こりません。
もちろん、人を噛みません。

また、
従来の飼い方をしている方のサイトに、
●偏食・過食の報告と
●肥満になる
との報告があります。

もともとハムスターには、【必要なものを必要なだけ食べる】という【本能と習性】が備わっています。肥満の報告は、この〔必要なものを必要なだけ食べるという仕組み〕が、ストレスで正常に働かなくなった結果だと推測されます。
実験研究の中で、ストレスの無いハムスターには肥満は起こりません。

【危険な段階】

●毛が抜ける症状や皮膚病が現れます。
●口の周り、目の周りなどに炎症が見られます。

消化器や皮膚などの病気・細菌・寄生虫などに対する抵抗力が低下します。

【最も危険な段階】

●下痢などの症状が現れます。

【お願い】ハムスターの病気については、ストレスが原因ではないものもあります。 獣医さんの診断に従ってください。


≪改善・対処方法≫

 これらのストレス兆候は、良く観察していれば、どなたにも、 【初期の段階】で気づくことができます。

初期の段階で対処してあげれば、早い回復が見込めます。

これらストレスの問題を解決するために開発した飼い方が、『地下型の巣箱』方式です。

飼育ケージに【地下の生活環境】=家を整えてあげて、ハムスターが安眠・熟睡できるようにして、 心のバランスを保たせてあげます。

飼育ケージに【地下の生活環境】=家を整えてあげさえすれば、ハムスターはストレスを自分で消化することができます。

【安眠・熟睡】がストレス解消のキーワードです。




§6.ハムスター独特の【ストレス】の解明

命に関わるほど強烈なハムスターのストレス。
 それは、野生のハムスターの生態を詳しく推測することで解明することができました。
ハムスターの本能と習性に基づくストレスでした。

≪食べられてしまう危険≫

 ハムスターは食物連鎖の、もっぱら食べられる側にいます。
しかも、捕らえられたときに戦い・逆襲する手段を持っていません。
したがって、フクロウなどの捕食者に見つかったら逃げるしかないのです。
しかし、敏捷な捕食者から逃げ切れる早さがありませんから、  逃げ込む巣穴が近くに無い限り、見つかったらまず食べられてしまいます。 捕食者にとってハムスターを見つけたらそれは「走るご馳走」に見えることでしょう。

≪それでも出て行く逞しさ≫

 生きるために、それほどに危険な地上に、ハムスターは出て行かなければなりません。
危険な捕食者に襲われるかもしれないのに、それを承知で出て行かなければなりません。
食べ物を探さなければならないからです。
そして、絶対に見つからないように行動しなければならないのです。
特に、巣穴に子供たちを残した母ハムスターは、自分の命を運任せにするわけにはいかないのです。

無鉄砲な勇気だけでは食べられてしまうだけです。
身を守るシステムがあるはずです。
では、この危険がいっぱいの荒野で食べ尽くされずに生き延びることができている、繁栄している ハムスター達の身を守るシステムとは?

§7.敵を先に見つけるという【高性能で完璧な警戒システム】


≪高性能である≫

 見つからないためには、敵より先に敵を見つけて隠れなければなりません。
しかも、先に敵を見つけることは1,000回に1回の失敗も許されません。
一生に一度の失敗も許されないはずです。
なぜなら、たった一回の失敗で食べられてしまうからです。

確実に、先に敵を見つけるという、【完璧な警戒システム】を持っているということの確かな裏づけは、
ハムスターが食べ尽されずに繁栄していることが何よりの証です。


≪全てのハムスターが備えている≫

 そして、この【完璧な警戒システム】は、全てのハムスターに備わっているということが分かります。
なぜなら、警戒を怠ったり、警戒が下手なハムスターが居るとすれば、 そのハムスターは食べられてしまうわけですから、 もしそのようなハムスターが居たとしても、子孫を残せないからです。
捕食者は、警戒システムが衰えたハムスターを主に捕らえているのだろうと推測出来ます。  つまり、ハムスターにとっての【完璧な警戒システム】は、 全てのハムスターのDNAの中に備わっているのです。

≪最高度の緊張状態=ストレス状態≫

 この【完璧な警戒システム】を働かせるためには、
聴覚・視覚・臭覚などハムスターの全身の警戒センサーをフル稼働させなければなりません。

少しの音にも危険が潜んでいないか?
視界に入る全てのものに危険の兆候はないか?
敵の臭いはしないか?など、 ハムスターにとって最高度に緊張している状態
 つまり、一瞬も気を緩めることを許されない最高度の緊張状態にあるからこそ正確に機能するのです。
そして、この【完璧な警戒システム】は、うっかりしたスイッチの入れ忘れも起きません。
安全な巣穴から、ひとたび外【地上の生活環境】に出たら、本能によって自動的にスイッチが入ります。
たべものを探し・見つけて・頬袋に詰め込んで急いで持ち帰る間、結婚相手を探す間も、安全な巣穴に戻るまで、 この緊張状態は持続します。

上空警戒中1

【完璧な警戒システム】機能中のハムスター

   ハムスターが巣穴から外、つまり【地上の生活環境】に出ているときには、周りは天敵だらけです。
特にフクロウなど夜行性の猛禽類は、空から突然襲ってくる恐ろしい存在です。
したがってハムスターは、敵に遭遇する前に自分の方が先に気付いて隠れるしか生き延びる方法がありません。
ハムスターの眼が上向きについているのは上空を警戒するのに都合が良いためだと言う説に納得します。
「上から掴まないようにしましょう!」という注意書きがどの飼育書にも見られる通り、 ハムスターにとって自分を上から掴んでくるものは「自分を食べる恐ろしい敵!」 と認識する本能があることを知っておくことが大切です。
【上写真】
【実験と観察1】これは、隠れるところがない草原に放したハムスターです。
背を低くして、耳を立てて、眼を見張って【完璧な警戒システム】が働いていることが分かります。

最高度に緊張した様子が観察できます。
この姿はとても強いストレス状態を表しています。(可愛そうですから、皆さんはこのような実験はしないでください)



上空警戒中2 【左写真】
【実験と観察2】敵がいなくても、上空を警戒する行動を頻繁に繰り返している様子です。
ペットとして、毎日安全に暮らしていて、敵のことなど学ぶ機会がなかったのに、
誰からも教えてもらわないのに、
草原に放したハムスターからは、最大級の緊張状態で警戒態勢をとる野生の本能がほとばしるように感じ取れます。


実験の結果、写真のようにペットのハムスターにも、野生のハムスターと同じように、 自動的に警戒態勢になる本能がしっかりと受け継がれていることがわかっています。
異常な音や振動に反応して瞬時に避難行動をとるのは、この警戒機能が正しく働いているからです。


≪ハムスターは臆病な動物ではない≫

 たくさんのホームページが、ハムスターを【臆病】と表現しています。
間違っています。
●少しでも危険を感じたら素早く身を隠します。
●危険を感じている間は姿を現しません。
これは、【完璧な警戒システム】が働いているときのハムスターの正常な行動です。
この行動は、一見して、臆病な行動に見えますが、間違った解釈です。

敵だらけの原野を一晩に10キロ以上も走り回るハムスターは、勇敢です。
皆さんのハムスターが賢く勇敢であることは、良く観察すれば皆さんにも分かります。
臆病では決してありません。

【完璧な警戒システム】を持ったハムスターの行動を見て、[臆病]と解釈してしまうと、
対策を間違えてしまいます。
優しく接したつもりでも、警戒中のハムスターをさらに警戒させてしまいます。
楽しくコミュニケーションをとって、仲良くなることが、ますます難しくなってしまいます。


§8.このページのまとめ


●巣穴の外に出たときに、【完璧な警戒システム】が自動的に作動する。

●この【完璧な警戒システム】は最高度(※2)の緊張状態をハムスターに強いる。

●これが【ストレス源】である。

●このストレスは、ハムスターが地上に居る間は一時も中断することなく持続する。

●ハムスターは、巣穴(家)に戻って、リラックスして、 安眠・熟睡することによってこのストレスを解消することで、心のバランスを保っている。

●ただし、飼育ケージに巣穴(家)の無いハムスターは、ストレスを解消することが出来ず、ストレスを蓄積する。

●ストレスが蓄積すると、心のバランスを崩し、病気になる。

(※2)巣穴の外に出たハムスターは、【完璧な警戒システム】を正確に働かせ、敵を警戒しながら、 本来の目的である、食べ物を探し持ち帰る。 縄張りを維持する。交尾のための相手を探し選ぶ。などを行うわけですから、 地上に居るときのストレス量が相当なものであることがわかります。

●ハムスター目線の本当の『ハムスターの家』で生活させてあげれば、ストレスの問題は解決する。

●皆さんのことを血が出るほど噛みつくなどのストレス症状が治ります。

§9.補足・その他のストレス

この項では、ハムスターを病気にしてしまうストレスについて述べました。
この他に、ペットとして飼われているハムスターには下記の幾つかの【ストレス源】があることがわかりました。
1.食料貯蔵量不足によるストレス
2.巣材が不足するストレス
3.人との関わりによるストレス
4.飼育環境(温度・縄張り・猫などの存在・など)によるストレス


1.食料貯蔵量不足によるストレス と、2.巣材が不足するストレス




 食べ物が足りないストレスと、巣材が無いストレスは、飼い主の注意で解消してあげられます。

 ハムスターはネズミの仲間ですので食い溜めが出来ません。しかも、ペット化されていないハムスターには、犬や猫の様に「今は無くても時間が来ればもらえるから心配ない」という知恵が働きません。
 自分の縄張りの中に今、食べ物が少なければ、心配でストレスになります。この為に貯蔵行動があります。
 また、巣材も同様に少なければストレスになります。ハムスターは季節の変わり目など温度環境の変化に合わせて、寝室を模様替えします。時には全室に巣材を運び込むことがあります。巣材が無いのは、人の寝室に寝具が無いのと同じです。

 『地下型の巣箱』で生活するハムスターには、食べ物と巣材は切らさないようにしてあげましょう。

3.人との関わりによるストレス

 ハムスターに優しく接することは言うまでもありません。
警戒させてしまえば、当然ストレスになります。

4.飼育環境(温度・縄張り・猫などの存在・など)によるストレス

 温度は特に暑さ対策が必要です。縄張りは、複数飼いによる弊害があります。猫などは天敵になります。


〔文責〕
この項に記載した内容は、当『地下型の巣箱』のホームページの管理者が 実名のもとに責任を持って記載したものです。
高品質の情報を、ハムスターの飼育者に、読者の皆様に、提供するために、
この項の信頼性をさらに高めるために、
動物学など専門的立場の方の検証をいただけると光栄です。

〔転載可〕
2009年12月末日現在、 2016年11月改訂 ハムスターのストレスに関して本項記載の内容に類した文書を、ホームページ、書籍、論文などに見つけることが出来ませんでした。
ハムスターの飼育環境の向上のために、ハムスターを健康に飼育するために、転載していただくことを可といたします。