ハムスターの頬袋

  ↑ 満タンの頬袋 ハムスターに頬袋があることが、このページの、とてもとても大切なヒントになります。


ハムスターの餌の与え方と、貯蔵行動


ハムスターの餌の与え方と貯蔵行動   ≪研究報告≫

始めに、
 飼い主への警戒心を解消して信頼関係を築けばすぐにハムスターと仲良くなれます。
楽しいコミュニケーションが取れるのも、「今の生活環境で安心して生活できているからこそ」です。
ハムスターの安心は、
1.自分の家を認識している。
   安眠・熟睡できる寝室がある家で生活できていることを認識している。
2.貯蔵行動が実現出来ている。
   貯蔵室に十分な食べ物を貯蔵できていること。
3.採餌行動が来る。    巣穴の外、つまり【地上の環境】に食べ物と巣材が豊富に有って、いつでも持ち帰ることが出来る環境であること。
4.脅威が無い。
  巣穴の外に自分を食べるかもしれない脅威が無いこと。
の四つが満たされていることです。
ここでは、2の貯蔵行動に関連する項目をご案内いたします。

≪目次≫





常識と大きな違い

 ハムスターの従来の飼い方では、食べ物の量を調整しながら与える方法が、ほぼ常識化されています。
ここでは、まるで、常識はずれ、非常識の方法を説明しているように感じられる方が多いはずです。

食べ物の量を調整しながら与える方法は、おそらく

1.実験動物だったころの与え方の延長線上の方法が正しい方法と考えられていたこと。
2.犬や猫の与え方に倣って、決めた量を決めた時間に与える方法が、受け入れやすかったこと。
3.肥満、病気を防ぐ方法として、食事制限以外に思いつく方法がなかったこと。
などから、自然に受け入れられ、常識化したものと推測します。

しかし、

1.ハムスターの胃はほぼ1時間で空っぽになってしまうこと。
しかも、胃は小さく、犬猫のように食いだめができる構造でないので、空っぽにならないように、常に食べ続けている必要があること。
2.貯蔵行動と言う本能が満たされないことによるストレスは、重大で、健康を害している可能性があること。
の二つの問題は、あまり知られていないと管理者は感じています。

食のストレスは想像以上に大きいです。このストレスを解消してあげた効果は絶大です

ハムスターを健康に飼うために、知っておかなければならない、食べ物の与え方をこのページでご案内いたします。


§1.食べ物に対するハムスターの二つの行動

 生きる者にとって、食べ物は重要です。

 ペットのハムスターの食の行動を詳しく観察すると、
食べる行動と
貯蔵する行動とに
明確に分かれていることがわかります。

食べる行動は、「必要な食べ物を今食べる」行動です。
貯蔵する行動は、保存が効く栄養価の高い食べ物をひたすら貯蔵する行動です。

 この二つの行動のうち、特に貯蔵する行動を尊重した飼い方をしてあげると、ハムスターは活き活き伸び伸び健康に生活して、人に良く馴れて、コミュニケーションが取れるようになることが分かりました。

ハムスターのこの二つの食の行動を良く知れば、ハムスターを心身共に健康に飼うことができて、楽しくコミュニケーションを取ることが出来ます。

『地下型の巣箱』式の食べ物の与え方の特長

● 肥満にならない仕組みを解明しました

 この『地下型の巣箱』式の飼い方は、ハムスターが元々持っている【必要なものを必要なだけ食べる】という【本能と習性】を発揮させる飼い方です。ストレスの無い環境で飼ってあげると、ハムスターは自らこの【本能と習性】を十分に発揮して、肥満になるような食べ方をしなくなります。

● 十分な量と種類を与えます

 この『地下型の巣箱』式で生活しているハムスターは、必要なものを必要なだけ食べて、決して過食することはありません。したがって、十分な量と種類の食べ物を与えて、季節や成長度合いによって食べる量や種類が変化することを観察することが出来ます。

● 貯蔵行動

 ハムスターには食べ物を大量に貯蔵するという【本能と習性】があります。この【貯蔵行動】を実現させてあげると、食べ物不足のストレスが消えてとても落ち付きます。そして、心身共に健康になります。

● 肥満を心配する方へ

 この『地下型の巣箱』式の飼い方は肥満が起きません。
しかし、心配な方は、
肥満になりません
肥満対策の危険をご覧ください。


 ここでは、この≪今食べる行動≫と≪貯蔵する行動≫が実現できる環境について報告いたします。


§2.今食べる行動と食べ物

 ハムスターの今食べる行動を理解してあげることは極めて重要です。
食べたいと思った時に食べたい物が無いと、パニックになります。あとでもらえるという人が決めたルールを理解できないからです。


いつでも食べることが出来るように、品切れしない与え方が大切です。


【食べ物】
 野生のハムスターの食べ物は、穀物や種子や草やつぼみや花などを主食としながら、昆虫なども好んで食べているという報告があります。

 ペットのハムスターの食べ物は、

【主食】
 好みのものを選んで食べることが出来る、市販のミックスフードがあれば良いです。「ヒマワリの種」も好物です。そばの実や玄米なども好みます。ペットフードでも良いですが、他の食べ物があるときにペットフードの方を好んで食べるハムスターは稀です。
ただしペットフードだけしか与えなければペットフードを食べます。

【副食】
 新鮮な野菜と、時に良質なたんぱく質やカルシウムやミネラルとして、減塩の煮干しあるいは(ミルワームのような)昆虫等をを与えれば良いです。(『地下型の巣箱』入澤はミルワームは使いません。)乾燥のママのパスタやうどんも喜びます。

ハムスターとコミュニケーション

【オヤツ】
 コミュニケーションを円滑にするためにごく少量あげます。チーズやヨーグルト、クッキー、パン、果物などのオヤツは大好きです。

【食べる行動】
 まずハムスターの食べる行動が、時には1時間のうちに数回に分けて、少しづつ食べる食べ方であることを知ってあげることが基本です。
ハムスターはネズミの仲間ですので、食い溜めができません。胃がとても小さいからです。
しかも、胃の中の物を一時間ほどで消化するという報告があります。少量をいつも食べているのがハムスターの正常な食べ方であり、食べる行動です。

犬や猫や人間の様に、一日の決まった時間に食べれば良いという動物とは違うということを知ってあげましょう。

【ストレス発生】の注意
 食べたいと思った時に、そこに食べ物が無ければパニックになり、ストレスになります。
食べ物が無い状態が度々続けば、『ここは食べ物が乏しい環境だ』という認識をします。
 ハムスターは、食べ物が豊かな環境を求めて脱出しようとします。これが脱走行動です。
ケースに阻まれて脱出できないストレスが鬱積すれば、皆さんとコミュニケーションを取る心の余裕がなくなります。そして、心身共に疲弊します。




§3.貯蔵する行動と食べ物

 

 これからハムスターを迎える方は、ハムスターの貯蔵する行動を正しく知ってあげましょう。貯蔵する行動は、ハムスターのDNAに組み込まれた【本能と習性】ですから、ハムスターの生活そのものです。

 冬には食べ物が乏しくなる厳しい環境で、冬眠をしないハムスターは、4~5ヶ月分ほど食べ続けるための食べ物を貯蔵しておかなければなりません。
 貯蔵を怠れば、春まで生き延びることはできないとDNAが知っているからです。

【食べ物】
 種や穀物を主に貯蔵します。特に、「ヒマワリの種」「玄米」「そばの実」等は好んで積極的に貯蔵します。

【ウンコも貯蔵品】
 ハムスターは自分のウンコを貯蔵します。詳しくはハムスターのウンコに解説しています。

【貯蔵の行動の観察と研究】
 「ヒマワリの種」「玄米」「そばの実」などの好物を、いろいろなところに隠しておいて、ハムスターを自由に外出できるようにしておいて、夜中の行動を観察すると、どんなにうまく隠しておいても、必ず見つけ出して、そのすべてを、自分の家『地下型の巣箱』に持ち帰って、貯蔵室に貯蔵します。

ハムスターの行動
食べ物を頬袋にいっぱいに詰め込んで、全速力で家に持ち帰るハムスター。

【頬袋】
 持ち帰るのは、ご存じのとおり、頬袋に詰め込んで持ち帰ります。ハムスターの頬袋はこの時のためにあります。自然界では、何キロも食べ物を探し回ります。せっかく見つけた食べ物をたくさん持ち帰るために、頬袋があります。

ハムスターの貯蔵行動
頬袋が空っぽの時。

ハムスターの頬袋(満タン)
頬袋が満タンの時。

ハムスターの貯蔵行動
この様に貯蔵します。
●貯蔵行動の写真の解説
左下のトイレ室の『砂っ固』交換以外は、すべてハムスターの管理です。
貯蔵する食べ物の大部分は、ケースの外に出した時に、手から直接もらったか、自分で探し集めたモノです。
巣穴の外に脅威が無いことを学習しましたので、寝室を巣穴(出入口)の近くに移動したところです。
このように、寝室をどこに作るかを観察すれば、ハムスターが外の脅威をどのように感じているかを知ることができます。
はじめは必ず、巣穴から遠いところ(より安全と思われるところ)に、寝室や貯蔵室やトイレ室を作ります。


§4.貯蔵する行動を理解することの重要性。

 野生だけでなく、ペットのハムスターにも貯蔵行動があることをご覧いただきました。
では、このペットのハムスターが、貯蔵行動ができないと、どのような問題が生じるでしょうか?

大きなストレスが生じます。

ストレスは、貯蔵ができないことによるストレスです。

 ハムスターは食べ物の乏しい冬を生き延びるために貯蔵するのは【本能と習性】に因るものですので、貯蔵が出来なければ、生き延びることができない不安を感じることでしょう。『食べ物が少ない、大変だ!!』という不安です。

不安がストレスになり、行動が落ち着かなくなります。

 皆さんが必ず補給するのですから、貯蔵が無くても心配いらないはずです。
犬や猫であれば、今、器が空でも、食事の時間になれば食べ物を入れてもらえることを知っています。
 しかしハムスターには、皆さんが決めたルールを理解できません。それだけの知恵がありません。
今そこに、食べ物が少なければ、何とかしなければならないというストレスに晒され続けることになります。

貯蔵は貯金と同じ

 ハムスターを観察していてつくづく思うことがあります。ハムスターが貯蔵している食べ物は、人間の貯金残高と似ていると思います。人間も、貯金が沢山あれば安心するし少なければ不安でストレスにもなります。貯金が無くなっても、給料が振り込まれることを知っている人間は、安心していられますが、ハムスターは明日も明後日も今日と同じように食べ物がもらえるということを理解することが出来ません。

貯蔵が無い時のハムスターのストレスを想像してあげてください。

 残念ながら、旧来のハムスターの飼い方には、ハムスターの貯蔵行動に配慮した環境・考えがありません。
 貯蔵ができて安心したハムスターは、ストレスから解放されて、活き活きのびのび健康に育ちます。
飼い主と楽しくコミュニケーションが取れるようになるのもストレスが無くなるからだと推測しています。 なお、貯蔵には主に「ヒマワリの種」を用いています。栄養価の高いひまわりを貯蔵させることに躊躇される方には、「玄米」や「そばの実」などでも良いです。
手渡しをしてあげてください。


≪ハムスターの食べる行動に関する報告などを下記にまとめました≫

食べ物に対するハムスターのふたつの行動≪研究報告≫このページです。

食べ物の与え方

ハムスターの貯蔵行動

ハムスターの『巣穴の三大習性』

肥満を心配する方へ