ペットだけど野生のハムスター

ここは、ハムスターと仲良くなるために、
ハムスターの基本中の基本を知っていただくページです。

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§1.ペットだけどペットでないハムスター

『ペットだけどペットでないハムスター』
 禅問答のような表題をあえて掲げました。
私たちはペットとしてハムスターを飼いますが、
ハムスターには『ペットとして飼われる心の準備は全くできていない』ことを、まず、知っておくことが大切です。
ハムスターをこれから飼う方、ハムスターと仲良くなれずにいる方には、 「ペットだけどペットでないハムスター」の気持ちをご理解いただけさえすれば、ハムスターと仲良くなれます。
既に仲良くなっている皆さんにももっともっと仲良くなっていただけるはずです。

●代表的なペットに、犬と猫がいます。
そして
●ハムスターもペットです。
しかし、両者は決定的に異なります、
犬猫は家畜で、
ハムスターは野性だからです。

家畜←犬や猫

 人に飼われてから一万年もの歴史を持つ犬、同じく5千年以上の歴史を持つ猫、かれらには、人に寄り添い、一緒に生活するDNAが備わっています。
 軍馬から始まった馬、使役のための牛、鶏、アヒルなども、家畜としての長い歴史を持っています。
【食べもの】
食べ物に対して共通することは、餌を人からもらう、人に用意してもらうDNAを持っていることです。

野性←ハムスター

 一方、ハムスターはどうでしょうか?
ペットの歴史は50年程度です。
100パーセント野生です。
家畜としてのDNAを一かけらも持っていません。
【食べもの】
人からもらうものではなくて、自分で、自然の中から探して得る採餌方法です。
飼われているハムスターでも、人からもらったというよりは、巣穴から出てきたらそこにあった、見つけたという感覚です。
食べ物を手からもらうようになるのは、仲良くなってからのことです。ただし、仲良くならなくても、お腹が空くけば手から受け取る行動が見られます。

もう、お気づきいただけたことでしょう。

§2.そうです、私たちは野性のハムスターを飼育しているのです

ハムスターをペットの飼い方で飼ってしまうと、その思い違いが、ハムスターに大きなストレスをかけてしまう場合があります。具体例があります。

住環境の思い違い

 ついつい犬や猫と同じ様に、寝床とトイレの環境があればよいと考えてしまいます。
ハムスターは犬や猫と全く違います。

ハムスターは、ハムスターのDNAが求める住環境を求めます。

 野性の動物を飼うときには、その動物の野性における生活環境を研究してその環境を考慮した飼育環境を作ってあげるという、『環境エンリッチメント』の考え方が、近年になって動物園で一般的に取り入れられています。
 野性のペンギンが動物園で繁殖できるようになったのも『環境エンリッチメント』の考え方によります。
参考⇒『環境エンリッチメント』

ハムスターにも『環境エンリッチメント』の考え方がちゃんと当てはまります。

 ハムスターが一日の大部分を過ごす巣穴の中の家の機能を再現してあげることで、自然界に似た生活をさせてあげれば、安心させてあげることができます。
それが、ハムスターの飼い方のステップ1です。参考⇒ステップ1

接し方の思い違いその①
●餌の与え方に大きな思い違いがあります。

 ついつい犬や猫と同じ様に、決まった時間に定量の餌やりを考えてしまいがちです。
これがハムスターにとても大きなストレスになっていることを知ってあげましょう。
犬猫にとっては正しい与え方ですが、毎日のことで、ハムスターにとっては命にかかわるほど強いストレス源になります。

犬とハムスターでは消化器のしくみがまるで違うからです。

犬の消化器の仕組み
 犬の胃は大きく、食い溜めをすることができます。今そこにある食べ物を噛まずに丸のみすることができます。あとてゆっくりと消化する仕組みです。
数日間獲物が無くても逞しく生き抜けるオオカミを先祖として受け継いだ消化器の仕組みです。

ハムスターの消化器の仕組み
 ハムスターの胃は身体の割にとても小さいので、そこに餌があってもたくさん食べることができません。
そのかわりに消化する速さがとても速く、細かく噛み砕かれた食べ物は胃の中でおよそ1時間ほどで消化するとの報告があります。
一時間ほどで胃が空っぽになりますので、つねに少しづつ食べ続ける必要があることが分かります。

§3.一日2回餌をあげる方法のストレス

犬と同じような与え方をすれば、空腹のストレスが発生します
 犬は、目の前に餌が無い時があっても不安にはなりません。時間が来ればもらえることを知っているから、待つことができます。
しかし、ハムスターは、今そこに無ければ、空腹のストレスを感じ続けます。
時間になるともらえる家畜としてのDNAを持たないから、待つことができません。
 そのために、ハムスターは、頬袋を持っていて、食べ物を貯蔵する【本能と習性】があります。
実際に、昼間に寝ていても、時々起きだして貯蔵室で食事をします。寝ながら頬袋の食べ物を寝ぼけ眼で食べている姿も観察できます。
このように、
 食べ物が目の前に無ければ命にかかわる心配でストレスになり、それが毎日続けばストレスが鬱積します。
貯蔵室に沢山食べ物があれば安心します。
これが、ハムスターの飼い方のステップ5の『巣穴の三大習性』の『貯蔵行動』です。参考⇒ステップ5の②

 

接し方の思い違いその②
●コミュニケーションの取り方に大きな思い違いがあります。

【子犬の場合】
 子犬や子猫を迎えた時、抱っこしたり撫でたり名前を付けてあげたり、おやつをあげたり、最大級の歓迎をします。
子犬たちはそのコミュニケーションから飼い主を信頼するようになります。

ハムスターの場合
 迎えられたときに、抱っこされたり撫でられたりすることに恐怖を感じるのがハムスターです。
敵に食べられないように、見つからないようにとても強力な警戒心を【本能と習性】に備えているハムスターにとって、初対面の皆さんと安心してコミュニケーションを取る心の余裕は、全くありません。
詳しくは、迎えたばかりの時のハムスターの気持ちをご覧ください。
ハムスターの気持ちを理解して、関わらないようにして迎えてあげたハムスターであれば、あとで、ステップ8以降で仲良くなる時に、すぐに仲良くなることができます。

§4.野性だけど、ハムスターには皆さんと仲良くなれる仕組みをちゃんと持っています

野性のハムスターなのに、どうして仲良くなれるのでしょうか?

ハムスター特有のとても強い好奇心が仲良くなれる原動力です。

 ハムスターは小さいですが学習能力が高く、とても賢い動物です。
安心して生活できる環境にいるハムスターの心には余裕ができるので、好奇心が湧き出て顕在化してきます。
好奇心が湧き出てくると、ハムスターはこの好奇心を皆さんに向けるようになります。

とても強い好奇心が、仲良くなる原動力になります

皆さんの生活音などの一つひとつが気になって気になって、確かめたくてうずうずしている状態になります。
その時はこのような行動が観察できます。 ハムスターと仲良くなる
このタイミングでコミュニケーションを始めれば、簡単に、誰でも仲良くなれます。



§5.まとめ

野性のDNAを持ったハムスターと仲良くなるには手順があります

そのために、

ハムスターが納得する環境で飼ってあげること。
ステップ1です。

そして、良い環境の中でハムスターを安心させてあげること。
ステップ5です。

警戒心が強いハムスターですが、安心すると心に余裕ができてきます。すると、強い好奇心が湧き出てきて、湧き出た好奇心を皆さんに向けるようになります。この好奇心が仲良くなる原動力になります。
ステップ6です。

このタイミングで、コミュニケーションをはじめます。
ステップ8です。

仲良くなれます。
ハムスターと仲良くなる方法を参考にしてください。
各ステップはハムスターの飼い方の各ステップを参考にしてください。

§6.このページのあとがき

ハムスターとすぐに仲良くなれる方がいらっしゃる一方、なかなか仲良くなれない方もいらっしゃいます。


このページが、なかなか仲良くなれない方が、仲良くなれるお役に立てれば幸いです。

ご相談やご質問をいただく中で、仲良くなれない方に一つの傾向があることが分かってきました。
それが、犬や猫と同じようなペットの飼い方が頭の隅にある方です。


  『地下型の巣箱』方式で飼育しているのに、仲良くなれないという方によく見られる傾向は、
十分な貯蔵行動ができていない例です。
時間と量を決めて与える犬方式にしている例です。
肥満を心配してついつい犬方式になってしまうお気持ちはわかりますが、
食べたいときに食べ物が無いストレスは、ハムスターにとって想像以上に大きなストレスを与えていることに 気が付いていただきたいです。

しかも、毎日ですから、強いストレスで、皆さんと仲良くなる心の余裕は生まれません。

『地下型の巣箱』方式でストレスなく生活しているハムスターに肥満は起きません。
自然界に肥満が無いのと同じく【必要なものを必要なだけ食べる】【本能と習性】が正しく働くからです。

 犬方式の食べ物の与え方ではハムスターに重大なストレスを鬱積させてしまうのは既に述べたとおりです。

食べ物が豊富にあることが重要です。脱走の原因が食べ物の不足です。

 住環境=自分が生活している今の場所に、貯蔵する十分な食べ物が無いと判断したハムスターは、たべものが豊富にある場所を求めて移動しようとします。これが脱走の行動です。
 金網を齧り続けたり、雲梯行動をしたり、壁面を昇る反復行動です。しかし、脱走できませんので大きなストレスを抱え込むことになります。 血が出るほど噛みつくというのがこの時のハムスターです。
それでも、肥満を心配する方には、以下のような例えで、ハムスターに貯蔵活動をさせてあげることの重要性をお伝えしています。

ハムスターの貯蔵量は、人の貯金通帳の残高と同じ

 人もハムスターも食べ物が無ければ命にかかわります。
ハムスターは食べ物を貯蔵します。人は数日分の食べ物を買いだめしますがあとはお金で貯蓄します。人は貯金残高が沢山あれば安心できます。ハムスターも同じです。食べ物が沢山あれば安心できます。
人は、定期的に給料があるのを知っていますから、今お金が少なくても心配しません。
一方、ハムスターは、目の前にある食べ物が少なければ不安になります。特に秋は、冬の間に食べる分が無くなれば春まで生き延びることができませんから数か月分の食べ物が無ければストレスを感じてしまいます。皆さんからもらえることを理解できません。
ということで、たっぷりと貯蔵したハムスターの心は、安心の心です。
安心しているハムスターが、心に余裕ができて、皆さんと仲良くなれるハムスターです。

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