ウサギの冷暖房、ウサギのクーラーのページ その3 です。

その3 ここはウサギのクーラー、冷暖房器のページです

ここは、ウサギのクーラー・・ の 続きです

このページは、ウサギが暑さに弱い理由の考察と、ウサギのためのクーラーをご案内しています。

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『ペットの冷房器』PC-350
 ↑ 上のウサギ君はこの上にのって涼んでいます。
ペットのクーラー PC-350


前ページで、
 ウサギ用のクーラーをご理解いただくための要点を4つ上げさせていただきました。
1.ウサギの平熱がおよそ39℃であり、上がらないように保たなければならないこと。
2.ウサギは、身体の熱を逃がす、効果的な仕組みを持っていないこと。
3.ウサギの先祖はアナウサギ。暑ければ地下に潜ればよいので、身体に熱を逃がす仕組みは必要がないこと。
4.ウサギのクーラーは、毛皮を通して、ウサギの体熱を逃がしてあげるクーラーであること。
を説明いたしました。
このページは、これらのことと、ウサギ用のクーラーをより詳しくご案内しています。



≪目次≫









§Ⅰ 夏にウサギの平熱を健康に保つ、ウサギのためのクーラーです

● 犬や猫たちに比べて、ウサギの方が暑さに弱いのは、、

『涼しい地方の地面に穴を掘って住んでいるアナウサギの子孫だから』暑い環境への備えがないからです。
 暑ければ、涼しい地下巣穴に居れば済むので、人や馬のように発汗で体温を下げるなどの暑さ対策の仕組みを持っていないからです。
ただし、夏毛に代わる換毛のしくみは備えています。

● ウサギが暑さに弱いもう一つの理由が、、

 暑くても暖かい毛皮を脱ぐことができないからです。
自然界の冬、ウサギの採餌行動の時間は、極寒の夜明け前です。
ウサギは高性能の防寒毛皮をまとっているので、寒さ対策は完璧です。
ペットとして飼われているウサギは、暑くても、この防寒毛皮を脱ぐことができないのです。


● 恒温動物は、平熱を保つことが重要 ウサギの平熱はおよそ39℃

哺乳動物つまり恒温動物は自分の平熱が決まっています。
ウサギの平熱はおよそ39℃と言われています。
ペットたちはだいたい人よりかなり高いです。
平熱であることが極めて重要なのはウサギも人と同じです。
もし、平熱より数度高くなれば熱中症になってしまいます。


● 平熱を一定に保つ仕組み

 私たち、恒温動物は、平熱を一定に保つ仕組みを持っています。
それが、
「平熱以下に下げない仕組み」と、
「平熱以上に上げない仕組み」の二つの仕組みです。気温の変化や運動による発熱などに巧みに対応して、平熱を保っています。
以下この仕組みを「下げない仕組み」と「上げない仕組み」と表現します。


● 「下げない仕組み」 その1 自ら発熱します

 私たち恒温動物の体内に発熱の仕組みがあります。
人の場合はおよそ36.5℃を維持するために、身体に蓄えたエネルギーを主に筋肉と肝臓で燃やして発熱しています。
その熱量は1日におよそ1,500kcalです。基礎代謝です。
筋肉を使う仕事に携わる人やスポーツ選手などは筋肉がさらに発熱しますから 3,000kcalを超える場合もあります。

ウサギの発熱の仕組みも人とほぼ同じです。
他のペットたちもだいたい同じです。
ただし、この発熱の仕組みには発熱量に限界があります。
寒い所に居たら、いくら発熱しても体温が下がってしまって、やがて死んでしまいます。

これらの数値は説明のための例です。


● 「下げない仕組み」 その2 毛皮による保温です

 寒くても、発熱した体温が逃げないように、全身を被う毛皮(鳥は羽毛、クジラや海獣などは皮下脂肪)を着ています。
これがとても重要な、2つ目の「下げない仕組み」です。
毛皮を持たない人間は服を着ます。
白くま、ラッコ、エスキモー犬など北極圏で生活している動物たちは皆体温より50℃も低くなる土地で生きていける高性能の防寒毛皮を持っています。
その中でもウサギは保温性に優れた毛皮を持っています。
アンゴラウサギのように暖かく柔らかい高級な毛糸の持ち主もいます。


● 「上げない仕組み」

 運動の時と、気温が上がった時、体温を「上げない仕組み」が働きます。
人は、体の表面から発汗することで余分な体熱を逃がす優れた体温調節機能を持っています。
汗が蒸発するときのエネルギーはとても大きく、汗で濡れた体表に風が当たればさらに多量の熱を逃がすことができます。
団扇や扇風機の効果はこの発汗作用によります。
また、馬が汗をかくことは良く知られています。
犬は大きな舌を出して濡れた舌表面からの蒸発熱で多量の熱を逃がす仕組みを持っています。
また、毛皮を着た動物たちには、換毛という優れた仕組みが備わっています。
春になると綿毛のように暖かい冬毛が抜けて、肌が見えるような夏毛になって暑い夏に備えます。
換毛は人が夏服に着替えるのと似た効果がありそうで、自然の仕組みの奥深さを知らされます。
しかし、ウサギは換毛の仕組みを持ってはいますが、犬ほどの効果はありません。


● ウサギの「下げない仕組み」は強力だが、「上げない仕組み」は微弱力

 ウサギの「下げない仕組み」は氷点下の寒さでも、39℃の体温を守る優れた保温性能を持っています。
氷点下10度とすれば、その温度差は約50℃にもなりますから、まるでウサギが魔法瓶の中に入っているほどの保温力で、毛皮の保温力が高性能であることが分かります。
 一方、「上げない仕組み」は「下げない仕組み」に比べれば適応する温度範囲がとても狭いことが分かります。
その理由は、「上げない仕組み」は「放熱の仕組み」だからです。
放熱は、高い方から低い方への熱の移動ですから、気温が体温に近くなってくると極端に放熱力が落ちます。
しかし、身体は基礎代謝分を常に発熱していますから、放熱出来なくなれば、体熱は溜まるばかりでやがて上がり始めます。即、生命に係わることになります。


● 「上げない仕組み」の上限温度

 発汗して放熱する仕組みを持った人の場合、健康な大人の上限温度は 30℃前後と言われています。
ただし、湿度が低ければ発汗効果が大きくなりますから30℃を超えても日陰に居れば快適に感じる場合もあります。
ただし、十分に発汗できるように水分やミネラルを補給するなどの対応を怠ると、体熱が溜まり始めます。
 夏毛に換毛ができて、舌で放熱できる犬の場合でも28℃位が上限温度だと推測できます。
ただし、ハスキー犬のような寒冷地が故郷の犬種は25℃ほどが上限温度ではないかと推測します。
 ウサギの上限温度はおおよそ25℃、 ほどだと言われています。

ただし、これらの温度の確たる裏付けが見当たりません。
しかし獣医さんの情報など多方面で広く用いられてはいますので、当ホームページでもこの温度数値を使用させていただいています。



● この「上げない仕組み」を助けるのが、ウサギ用のクーラーです

   「上げない仕組み」は放熱ですから、気温が上がって、25℃を超えたあたりから、「上げない仕組み」の働きが悪くなり、さらに気温が上がると、放熱効率が急激に低下します。
熱が逃げなくなるのが、熱中症の前兆になります。
そのような時に、ウサギの「上げない仕組み」を効果的に助けるのが、このウサギ用のクーラーです。


● ウサギになったつもりで25℃を仮想体験

 ウサギはは防寒毛皮を脱ぐことができないために、犬や猫たちに比べて、上限温度が低く25℃と言われています。
飼い主の皆さんが厚手のセーターを着て目出し帽をかぶれば、ウサギの暑さを模擬体験できます。
「うちのウサギは暑さに強い!!」とおっしゃる方に、ぜひ模擬体験をお勧めします。
気温が25℃までなら暑苦しいのを我慢できるという程度にセーターや防寒着を着込んで、顔も覆って、 温度がもっと上がった時のウサギの暑さ体験をしてみると、防寒毛皮を脱ぐことができないウサギの気持ちがわかります。


【豆知識】
 自然界で暑い時にはどうしているか?
ウサギはあまり暑い所には住んでいません。
しかも、暑くなったら涼しい巣穴の中にいれば避暑になります。
暑い所は、幼獣が暑さに耐えられませんから繁殖に適しません。
ウサギをはじめ、野生の動物たちの温度基準は、自分以上に、 幼獣(赤ちゃん・子供)に適した温度環境を重要視していることはよく知られていることです。
25℃以上になる過酷な環境に連れてこられたのは、人間の都合なのですから。


【豆知識】ハスキー犬の例
 ハスキー犬は一時ブームになったことがありましたが、短命と言われました。
野外で飼われていれば日本の夏の暑さのストレスが相当のものだったと思われます。
ハスキー犬の限界温度を考えてあげなかった人間の都合でした。

§Ⅱ ウサギの体熱を効果的に逃がしてあげます

● ウサギ用のクーラーがウサギの体熱を逃がしてあげる仕組み

 室温に追従して、室温よりわずかに低い温度に設定してある、ウサギ用のクーラーの冷却プレートがあります。人が触るとヒンヤリする程度です。
 ウサギは暑いと感じた時に、この冷却プレートの上にのって寝そべります。
 寝そべると、すぐに、ウサギの体熱が冷却プレートに移動を始めます。
 この熱の移動が、ウサギから体熱を逃がす作用です。
 逃げた熱の分、ウサギはヒンヤリとした心地良さを感じて涼むことができます。

例えば室温が30℃の場合28℃とか、室温が25℃の場合23℃とかが室温よりわずかに低い冷却プレートの温度です。


● 寝そべると熱が移動する仕組み

 寝そべるとウサギの毛皮の中にある空気が押し出されて、毛皮の断熱力が低下するので、体熱が逃げやすくなります。
毛皮の保温力の主役は空気だからです。毛は熱を伝えます。

【豆知識】
 ウサギの毛皮が犬や猫に比べて熱を通しにくいのは、毛の間にたくさんの空気を溜めているからです。
空気は熱伝導率の値がとても小さく保温効果が大きい物質の筆頭です。
断熱材の発泡スチロールが高い保温力を持っているのは、泡状にした空気を大量に取り込んでいるからです。
毛そのものはケラチン質なので空気に比べれば保温力は無く、熱を伝えます。
つまり、ウサギの体熱が空気を含まない毛(ケラチン)を通って冷却プレートに逃げる仕組みです。

【豆知識】
 実体験 冷却プレートの上にタオルを被せて軽くそっと手のヒラをのせると、ヒンヤリ感は感じません。タオルの中に空気があるからです。
次に手のヒラを押し付けて空気を押し出すと、ヒンヤリ感を感じることができます。この感じをウサギ も感じています。


§Ⅱ-2 逃がしてあげる熱の量の計算

逃がしてあげる熱の量が多ければ冷たすぎて不快になりますから、ウサギはのりません。
逃がしてあげる熱の量が少なければ、役に立ちません。

 体重2㎏のウサギの熱の量を推測してみましょう

まず、推測した値を先に記します。

● ウサギの1日の発熱量 = おおよそ90kcal = 104.6W

● ウサギのの1時間の発熱量 = おおよそ3.75kcal = 4.4W/h

です。
算出例はこのページの最下段に記載しておきます。

kcalとW/hの二つの単位が出てきましたが、クーラーを設計するうえで重要なので説明させていただきますが、得意な方は読み飛ばしてください。

kcal(キロカロリー)はエネルギーの単位で、食べ物が持つ熱エネルギーなどに用います。

1calが1グラムの水を1℃温めるエネルギーです。
1kcalはその千倍です。
基礎代謝の時は1日の量を表します。

人の基礎代謝がおよそ1,500kcalということは、1,500kcal分の食べ物を食べて燃やして熱を発しているということです。

W/h(ワット/時)も同じくエネルギーの単位で、電力や力に用います。

 人の発熱は100W(ワット)というのを聞いたことがある方がいらっしゃると思います。
/hが付けば一時間の量を表します。
100W/hは数年前まで生産されていた100ワットの白熱電球の発する熱にほぼ同じです。
狭い部屋に10人も集まると暑苦しくなるのは、部屋に100W×10=1,000Wの電気ストーブを置いたのと同じだからです。


人を50キログラムと仮定して、ウサギを2キログラムとするとウサギの発熱量は人の4/100です。 夏にウサギは激しい運動はしないので、基礎代謝の50パーセントの値を筋肉からの発熱として多めに加算しました。

§Ⅲ 結論、ウサギの体から逃がしてあげる熱の量は4.4W/h以下

●  4.4W以下の意味

4.4W全部逃がしたら、ウサギが冷えてしまいます。
つまり、4.4ワットを発熱していて、ウサギが逃がしたい熱量のうちで、夏になって逃がしきれなくなった分を、このクーラーで逃がしてあげる熱量ですから、ウサギが実際に必要とするのは4.4W/hの極一部分と言うことになります。


● 逃がす量はウサギが自分で調節します

4.4W/h程度のクーラーを用意してあげれば、ウサギが自分で逃がす熱量を調節します。

調節の仕方は、
1.押し付ける身体の面積で調節する。
2.のる時間で調節する。
の二つが主な調節方法です。

§Ⅳ 4.4W/hが小さすぎる心配

●  4.4W/hが小さすぎると心配する方のために

心配する方は、今まで使用してきたエアコンが小さいものでも500ワット、少し大きな部屋を25℃に冷やすためには1キロワット(1,000W/h)以上のエアコンをお使いでしょう。
なのに、4.4ワットはこんなに少なくて効果があるのか?異常値と感じるのが当然です
ですが、、、、。

● エアコンはウサギだけでなく、部屋の全てを冷やす電力を消費しています。

 エアコンは部屋の空気だけでなく家具や壁・天井・床などすべてを、設定温度まで下げるために大きな電力を必要とします。
しかも、部屋に冷気を循環させるために、モーターでファンを回し続けています。
さらに、室外機が大きなファンを回すのにも電力を消費しています。

小さなウサギのためであっても、部屋全体の温度を下げるのが、エアコンの役目です。
しかも、飼い主は、寒さを我慢しなければなりません。

小さなウサギにとっては、自分のためだけに必要な電力は、エアコンが消費する電力の1パーセント以下で十分なのです。
ウサギとしては、自分が安心して涼める快適な場所がもらえればそれで満足です。
これを、専用のクーラーが満たしてくれます。

● 大きな部屋になればなるほど、大出力のエアコンが必要なのはこのような事情だからです。


§Ⅴ 4.4W/hをウサギが全部使える

 このウサギ用のクーラーは、ウサギと直接熱のやり取りをします。

● ウサギが直接冷却プレートに熱を渡す仕組みです。

● 冷却プレートが直接ウサギの熱を受け取る仕組みです。

● クーラー側から見れば、ウサギの体熱を吸熱することに電力を集中できる仕組みです。

このように、まったく無駄がありません。

§Ⅵ ウサギ用の理由

1.ウサギが逃がしたい熱の量に合わせて設計されていること。
2.冷たすぎず、心地よいヒンヤリ感の冷却プレートであること。
3.ウサギが好きな時に好きなだけ、いつでも使えること。

4.無音・無振動であること。

ウサギが冷却プレートの上で安眠・熟睡することができるのは、このクーラーが音ゼロ、振動ゼロだからです。
人の何倍も音や振動に敏感なウサギにとって、無音・無振動が、安眠・熟睡の必須条件です。

その3 ウサギ用のクーラー、冷暖房器に続きます。



ウサギの熱量の算出例

● 設定した条件
1.ウサギの体重 2kgの例
2.比較のための人の体重 50㎏
3.人の基礎代謝熱量 1,500kcal

ウサギの基礎代謝熱量は人の4/100だから60kcal
ウサギは夏に激しい運動はしないので、基礎代謝の50パーセントを運動による代謝とする。
ウサギの発熱量は、60+30=90kcal/日
ウサギの1時間当たりの発熱量、 45÷24=3.75kcal/時
1kcal=1.162kWだから
ウサギの1時間当たりの発熱量をW換算すると 4.4W/時





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